魔王さま100分の2
見覚えのある巨大な壁と門。
作りも大さも、シルキスがいた町と同じもの。
「開けます」
「おう」
シルキスが手をあてると、門は片手で開いた。
「中も同じですね」
「そうだな」
確認しあって領地へ入るふたり。
門を後ろ手に閉めると、ゆっくり塔まで歩く。
魔王さまが、シルキスに抱かれたままで言った。
「塔の上に気の利いたハシゴがあるのはいいが、庭がまったく手入れされていないのは、いただけん」
「まあ、使われていない土地を見るともったない気はしますね」
シルキスは答える。
前の領地からは、死にそうな目にあって魔王さまを連れ出すことになったが、同じ作りを見せられるとなんとなく懐かしい。