魔王さま100分の2

「失礼します」
「入るぞ」

それぞれ挨拶をして、中に入る。

「きちんと片付けはされてますね」
「ふむ」

塔の中の部屋は、外の庭と違い、しっかり手入れされていた。

テーブルや椅子などの家具はあるべきところにあり、床や壁を含めて清掃も行き届いている。

そして、棚やテーブルの中央に置かれた小物から感じる、良い意味での生活臭。

ここの魔王さまは、愛情をもって世話をされている。

シルキスは、それが分かってほっとした。
その顔を魔王さまに見られて言われる。

「安心したか?」

「はい。最悪、魔王さまのときのように埃まみれれでボロボロというのも想像していました」

「そうでなくて良かった。もしそうだったら、ここの私を連れ出して、大掃除が始まるところだった」

魔王さまが、尖った歯を見せて笑った。

「まったくです」

シルキスは、全面的に同意して笑み返す。

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