魔王さま100分の2

誰だ?
とは、今さら互いに訊かない。

魔王さまと魔王さま。
ひと目で、もうひとりの自分だと理解した。

シルキスに抱かれた魔王さまが、尖った歯をいっぱいに見せて言う。

「よう私、会いに来てやったぞ」

黒髪の魔王さまは階段を昇りきり、金の髪の魔王さまを見て言った。

「やけに小さい私だな」
「なんだと、こらーっ」

「魔王さま、自分達で喧嘩しないでください」

どうどう。

シルキスは、自分の魔王さまを抱きとめてなだめる。

< 152 / 582 >

この作品をシェア

pagetop