魔王さま100分の2
イアミリア議事堂。
防音完備の部屋。
アイオネの到着前から始まっていた、人間と魔族の話し合い。
遅れて参加したアイオネは、キーヤ達からの信書の写しを手に叫び声をあげていた。
「ええええっ、一年も前に魔王さまがひとり逃げてるうううっ!?」
「知らなかったのか?」
「勇者どのは、王国から内々で知らされているとばかり……」
アイオネの反応を見て、ひそひそ話す他の出席者達。
都市の政治、商業、軍事に関わる代表者が数名。
教会から事の仲介者として神父のエミリオ。
そして、キーヤとヘナ。
それぞれのグループごとにひとつの長机を使って向かい合う席上、
これは意外な、そして可哀想に勇者といえど下っ端かという顔をつくった。