魔王さま100分の2
「あの……」
慰めの言葉をかけたのは、ヘナ。
「人間の皆様の国や街では魔王さまが外に出られたことは秘密。表向きでは、魔王さまは現在もご自分の領地で眠っていると伝えているようです。知らないということは、それだけ約束ごとをしっかり守る組織にお勤めになっているということでは?」
魔王さまからの使者であるヘナが、懸命に理屈を考えてやる。
キーヤ以外の出席者は、さすが天使は優しいなとうんうんと頷く。
キーヤは、勇者などに気遣い無用と冷たい目。
ちなみにヘナの背中の翼は、既にここの全員に見せた後なので、今はローブを着込んでしまってある。
アイオネは、ジト目でヘナを見た。
目のすみに小粒の涙が浮いている。
「あんた、天使よね」
「はい、片羽を落とした身ですが」