魔王さま100分の2

障壁は、この飛竜達にも防御能力を発揮した。

飛竜達の鋭く強靭な牙を弾き、吐き出される炎の熱に耐える。

だが、後方の障壁は前方に比べて薄いのだろう。

前方で幽霊船の砲撃に耐え続けている一方、飛竜の攻撃に徐々に傷つきひび割れていく。

その様子を見て、息を飲むのは観客の子供達。

親に買ってもらった双眼鏡を握り締め、懸命に人間の戦艦を応援する。

大きくなっていく障壁のひび。
ついに小さな穴が空き、一頭の飛竜の頭が中に入った。

障壁の内側で口を開いた飛竜。
喉の奥で炎がひらめく。

あちこちであがる子供達の悲鳴。
危ない、焼かれる。

子供達の大半にそう思わせたとき、

船尾から一直線に伸びた美しい魔法弾が、この飛竜を撃ち飛ばした。

< 22 / 582 >

この作品をシェア

pagetop