魔王さま100分の2
「とまれっ、シルキス、もとの目的を思い出せっ」
「アイオネ、この人達は大丈夫だから。ね、話をしよう」
がうるるるるっ。
狂犬は、魔王さまの命令も、お願いも聞かない。
黒の魔王さまの目にちょっと涙が浮く。
半泣きで怒った。
「分かった。アイオネが私の言うことを聞かないなら、この勇者とキスしてやるっ!」
シルキスの首に両腕をまきつけ、唇をうーんとよせる。
「え?」
慌てたのは、金の魔王さま。
全くの予定外。
「おいっ、こらっ、馬鹿っ、やめろっ」
そしてアイオネは、
「!!」
こんな顔で驚いて、動きがとまる。
金の魔王さまは、そんなアイオネの頬を平手で連打して大声で命じた。
「何をしているっ!!あの馬鹿をとめろ、おまえの主人とシルキスの唇を守れっ!!」