魔王さま100分の2

「はっ」

言われて、アイオネは風を切って動いた。

篭手が壊れてむき出しになった手の平を縦にして、魔王さまとシルキスの口の間に差し込む。

むちゅっ。

間一髪、アイオネの手の表と裏にぶつかる、魔王さまとシルキスの唇。

シルキスの狂犬状態は、それで解けた。

冷静になった頭で今の状況を把握し、
手の平の向こうでキスを迫っている、黒の魔王さまを見て声を出す。

「うわっ」
「逃げてっ」

黒の魔王さまがシルキスに命じる。

「逃げるなっ!」

対して、金の魔王さまも命じる。

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