魔王さま100分の2
シルキスは落ちる間に、金の魔王さまが同じ姿勢でアイオネに保護されているのも見る。
シルキスはアイオネを信じて、
塔の斜めの屋根の上に落ちた。
ドガッ。
塔を守る強固な外壁に背中側、
やや頭が下になる体勢を選んでぶつかる。
黒の魔王さまは長身なので、
それ以外の角度で落ちると手足がはみ出るから。
そこから滑るように塔横の地面へ。
やや頭から。
ゴッ。
首と後頭部に目が眩む衝撃。
痛みはどうでもいい。
目が見えなくなるのがまずい。
直後に、胸に落ちる魔王さまの感触。
こっちは予想よりもずっと軽い。
あとついでに柔らかい。
髪は、いい匂いがした。