魔王さま100分の2
「向こうの私は無事みたい。アイオネに抱っこされてこっちに来るよ」
「アイオネは、まだ襲って来そうですか?」
「どうだろう?うわっ、走ってきた」
「ぐっ」
シルキスは、動けない魔王さまを脇に置いて立ちあがった。
立ったところで、また目がくらむ。
シルキスは目で見ることを諦め、気配と音だけでアイオネのほうを向いた。
その挙動で、黒の魔王さまが察する。
「シルキス、もしかして目が見えないの?」
「はい」
伝え方を工夫している暇はない。
シルキスは、最短の返事で答えた。