魔王さま100分の2

ゴオオオーン。

アイオネが門の前に立っても、外からの打撃は続いていた。

シルキスに問う、アイオネ。

「向こうに立っているのがあなたの仲間だとして、これは攻撃ですか?ノックの一種ですか?」

「そんなの開けてみれ、あ痛たたたたっ、ノックです、ノックですから、いい笑顔で開けてやってください」

足首を握り潰されそうになって、もがくシルキス。

「……」

アイオネが慎重に考えをまとめていると、追加で言った。

「仮に、外にいるのが魔王さま達に害を及ぼすものだったら、僕が先に戦いますので、その手を離してくださいね」

アイオネの手がぴくりと動いた。
シルキスの足をさらに絞める方向に。

「ぎゃーっ、かっこいいこと言ったのにーっ」

「人質は、そんなことまで考える必要はありません」

アイオネは、シルキスの足の裏を使って、門を小さくゆっくり開けた。


< 243 / 582 >

この作品をシェア

pagetop