魔王さま100分の2
「あなたはっ」
門の外にいたのは、アイオネもよく知っているものだった。
それは背中の片羽を揺らし、アイオネを見て一言で挨拶をした。
「失礼します」
そして、アイオネに引きずられたシルキスを見ていう。
「愉快なかっこうですね、シルキスさま」
シルキスは、地面から片手をあげて答えた。
「やあ、ヘナ、話しておいた予定よりもずいぶん早いね」
そう、外で立っていたのはヘナ。
片羽の天使。
今はローブを着ておらず、大きく背中のあいた黒のサマードレスを身に着けていた。
おかげで翼が自由に動く。
へナは、険のこもった目でシルキスをギロっと睨むと、大きく翼を振るった。
まっすぐ伸びた翼と、途中で千切れた翼から、無数の白い羽が舞う。
「はい、シルキスさまが、私にお話しされた予定と全く違うことをされましたから」