魔王さま100分の2
「ところが、キーヤさんから聞いた話ではっ」
へナの長いほうの翼が、肩越しに曲がってシルキスの額をビシッと指す。
「アイオネさんをわざと怒らせて、自分と本気で戦うように仕向けましたね?」
「いや、わざとだと言うほど確定させたものでは……」
シルキスは、肘を使ってアイオネの影に隠れようと後ずさった。
「シルキスさま、私に嘘をつきましたね」
ヘナの両手が光を帯びる。
両の手を上に向けると、手と手の間に光の輪が生まれる。
ヘナは、その輪を自分の頭の上に乗せた。