魔王さま100分の2
魔王さまの塔の地下。
大浴場に入る扉の左右。
死から生還したシルキスと、
死から生還したアイオネが、
石の壁に背をつけ、
石の床に足を投げ出して、
座り込んでいた。
どちらも傷ひとつない身体になったが、
精神的にげっそり疲労している。
「アイオネさん、死後の世界はどうでした?」
「覚えてないです、そんなもの。そちらは?」
「ありません。きっと覚えてなくていいことだと思います」
「まったく、あなた達のせいで最悪の日です」