魔王さま100分の2

魔王さまの塔の地下。
大浴場に入る扉の左右。

死から生還したシルキスと、
死から生還したアイオネが、

石の壁に背をつけ、
石の床に足を投げ出して、

座り込んでいた。

どちらも傷ひとつない身体になったが、
精神的にげっそり疲労している。

「アイオネさん、死後の世界はどうでした?」

「覚えてないです、そんなもの。そちらは?」

「ありません。きっと覚えてなくていいことだと思います」

「まったく、あなた達のせいで最悪の日です」


< 265 / 582 >

この作品をシェア

pagetop