魔王さま100分の2
「アイオネは、王国の貴族の出らしいね」
「調べたの?」
「一通り」
「情報源が知りたいわ、塞いでおかないと」
「この都市にひとりしかいない勇者について尋ねれば、すぐに行き当たる情報だよ」
シルキスは、ごまかした。
「そうかしら?」
アイオネは疑いの目を向ける。
シルキスはそれには答えず、次の問いを単刀直入に投げた。
「それで、アイオネは、王国の勇者軍の中でどれくらい強い?」
「は?」
アイオネは、しばし、ぽかんと口を開けた。
「呆れるわね」
それで、言葉どおり呆れた。
「そんなこと知って、王国に戦争でも仕掛ける気?」
アイオネは言って、それが冗談になっていないことに気がついた。