魔王さま100分の2
アイオネは、それでシルキスが言っていることは本心だと分かってしまった。
なんで分かったと思ってしまうのかも、分かる。
それは不愉快極まる単純な理由。
自分も、魔王さまの立場と危険を考えると、うかつに魔族との戦いには臨めないという共感だ。
「信じた?」
「ちっ」
アイオネは、舌打ちした。
信じてしまったという返事だ。
「アイオネは、ここの魔王さまを大事にしてくれてるから。分かってくれると思った」
「非常に迷惑な信頼だわ。間違っても私を仲間にカウントしないでよ。したら、もれなく裏切ってあげる」
「ああ」
シルキスは返事をした。
そうなる時は、かつてのシルキスがそうなったように、アイオネが持っているものを全部捨てなくてはならない時だ。
シルキスは、自分以外の者にそんな選択をさせる気はない。