魔王さま100分の2

「笑うなっ」
「はい」

シルキスは、笑っていた口を閉じる。
でも目と口元は笑っている。

見透かされっぱなしでは癪なので、シルキスについて知ってやろうと歳を訊いたアイオネだが、失敗だった。

ゆるゆるにされた空気に乗せられて、
主導権がとれない。

「じゃあ、家族は?」

「肉親という意味ならいない。残念だけど記憶にもなし」

「えっと、ごめんなさい」

「謝ることはないよ。両親は開拓で流れてきた者どうしで出会って、僕を生んだあとすぐ事故で死んだらしい」

シルキスは、ゆるい空気を壊さないように明るく言う。

「事故?」

アイオネはつい訊いてしまい、
しまったっと口を押えた。

シルキスは気にしなくていいと、
また笑みを見せた。

< 291 / 582 >

この作品をシェア

pagetop