魔王さま100分の2
「笑うなっ」
「はい」
シルキスは、笑っていた口を閉じる。
でも目と口元は笑っている。
見透かされっぱなしでは癪なので、シルキスについて知ってやろうと歳を訊いたアイオネだが、失敗だった。
ゆるゆるにされた空気に乗せられて、
主導権がとれない。
「じゃあ、家族は?」
「肉親という意味ならいない。残念だけど記憶にもなし」
「えっと、ごめんなさい」
「謝ることはないよ。両親は開拓で流れてきた者どうしで出会って、僕を生んだあとすぐ事故で死んだらしい」
シルキスは、ゆるい空気を壊さないように明るく言う。
「事故?」
アイオネはつい訊いてしまい、
しまったっと口を押えた。
シルキスは気にしなくていいと、
また笑みを見せた。