魔王さま100分の2

「木材が崩れてという感じで一緒に亡くなった人も多かったらしい。その後は残った開拓仲間と町の保護を受けて育った」

シルキスは、話ながら子供のころの記憶をたどる。

実は、シルキスがここまで詳しく、
両親のことを誰かに話したのはアオイネが初めて。

魔王さまにも軽く話したことはあったが、魔王さまはその特性から、すでに死んだ人間のことは気にかけない。

「それで?」

今、アイオネがするように、訊いていいのかどうか迷いながら、話を先をすすんで聞こうとはしなかった。

「わりと大事にされたよ。少なくとも、辛いと思ったことはないぐらいに」

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