魔王さま100分の2
「そうか、アイオネは王国の貴族だから大家族なんだな」
「まあね」
アイオネは、シルキスのことを思って控えめに答える。
「僕も開拓仲間の集団暮らしだったから、大家族といえば大家族だな」
またアイオネの心を読んだのか、シルキスが言う。
「でも、その家族も魔王さまの為に捨ててしまったのでしょう?後悔していない?」
アイオネは、訊いた。
こんなことが訊けるほど、アイオネもまたシルキスに気を許しているのだと、アイオネ自身が思った。
シルキスは、明快に答える。
「してないよ。全く」
答えるシルキスの顔は、子供に見えたときとは逆。
揺るがない男の顔だった。
──魔王さまとお風呂 終わり