魔王さま100分の2
幽霊船ショーが終わり、
降っていた小雨もやんだ海岸。
シルキスは、自分の頭の上に話しかけた。
「終りましたよ。よく見えましたか?」
そこにはシルキスに肩車された、金色の髪の魔王さま。
水色のワンピースに、つば広の帽子、首からさげた双眼鏡と夏衣装ばっちり。
「おう、よく見えたぞ。最後の虹で出るところまでばっちりだ」
にこにこ顔で答えるは、
ショーそのものよりも、
どんな混雑にもびくともしないシルキスの肩車にご満悦だから。
今も、泳ぎに来る者達と海岸から出る者達とで大混雑中だが、シルキスはよろめきもしない。
「感想はありますか?」
「見世物としては、なかなか良かった。だが、最後は少しあっけなかったな」