魔王さま100分の2
「幽霊船の正体は大昔に沈んだ残骸が定期的に見せる幻だそうです。人間側の戦艦や魔法使いは本物ですが、
最後のは、幽霊船の幻が時間切れで消えるのを、派手な演出でごまかしているのでしょう」
「じゃあ、人間の船が傾いたり、大砲の弾が爆発したりするのは全部演技なのか?」
「おそらく」
「む、そう言われるとつまらんな。幻か……」
シルキスは上を向き、魔王さまと目をあわせて笑う。
「本物だったら大変です。僕らは、こんなところにいられませんよ」
「それは困る。まだ全然遊んでないぞ」
「遊びに来たわけじゃないですけどね」
「ん?私は遊びに来たつもりだぞ」
「まあ、そんな気はしていましたので怒りませんが、目立つ事はやめてくださいね」
「大丈夫、勇者の気配を感じたらお前に知らせて逃げればいいのだろう」
「情報が正確なら出会う可能性があるのはひとりだけですが、本当に気をつけてくださいね」