魔王さま100分の2

「着てもいませんし、持ってきてもいませんが」

「なんだとっ」

信じられないという顔をする魔王さま。

「海まで何をしに来たっ。たるんでいるぞ、シルキス」

これ以上なく真剣にシルキスを怒る。

「仕方ない、なければ買ってやる」
「買ってやるって?」

魔王さまは、シルキスの肩の上で周囲を見回す。

「あそこだ」

大型の売店を見つけ、指差した。

「いくぞっ」

魔王さまの号令。

逆らうと、さらに怒るか拗ねるかするので、シルキスは魔王さまを乗せたまま歩き出す。

< 34 / 582 >

この作品をシェア

pagetop