魔王さま100分の2
「眠る前に、お別れの挨拶は済ませたのでしょう?」
「いや」
魔王さまは、明るく言った。
「私達は、そんな区切りをつける間柄じゃない。土産のひとつも置いてくれば十分だ」
土産とは、シャチのことだろう。
魔王さまが言うのなら、そうなのかもしれない。
「おまえ達には、その程度のやつと会うのに手間をかけさせたな。礼を言う」
「会いたかったのは、僕のほうですから」
シルキスが言うと、魔王さまは態度を返す。
「そうだった。こいつめ、手間をかけさせよって、礼を言え」
頭で、調度いい位置にあったシルキスの胸をつつく。
というか、くっつく。
起きぬけのごろにゃん。
「今なら、おはようのキスで許してやるぞ」
「それは、誰も見てないときに」