魔王さま100分の2
「この照れ屋め」
「魔王さまが見せたがりなのです」
シルキスは、くっついてくる魔王さまの頭を優しく戻す。
むーっと、むくれる魔王さま。
冗談でなく、
本当にキスして欲しかったらしい。
風に揺れる金の髪とあわせて、
可愛らしい拗ね方。
シルキスの男心に、ここでキスしてもいいかなと誘惑が芽生えるが、思いとどまった。
ギャラリーが多すぎる。
しかも、イアリミアから来ている魔法使い達が多数。
後々、どんな噂が生まれるか分かったものじゃない。
魔王さまも、それ以上深くは求めず、シルキスから離れて、眼下で流れていく海原を見たり、へナの寝息を確かめたりする。
「ヘナは、ずっと寝ているのか?」