魔王さま100分の2

命綱の強度は十分なようだ。
シルキスは、その様子を見て思う。

「やはり僕がとりますので、気を静めてください」

魔王さまが綱を外せと騒ぎだす前に、シルキスは代わって弁当を取りにいく。

シルキスの胴にも命綱は巻かれていたが、こちらは長さに余裕を持たせてあるので楽に小箱に手が届く。

箱の留め金を外して蓋をあけると、中には大きな葉に包まれた、おにぎりのセット。

それと水筒に入ったお茶。

シルキスは、風に飛ばされないようにおにぎりと水筒を取り出した。

「これです、魔王さま」

軽い動作で荷台に戻り、葉をひろげて、魔王さまに3つ並んだおにぎりを見せる。

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