魔王さま100分の2
売店までつくと、
魔王さまはシルキスから飛び降りた。
危ないですと、シルキスが注意する前に買い物客の列に突入してしまう。
ちっこい身体を生かして列の隙間に割り込んで前進していく魔王さま。
あっという間に姿が見えなくなり、
慌てて探すシルキスが追いつく前に、
自分の背より大きなシャチの浮き袋を抱えて戻ってくる。
「買ってきたぞっ」
魔王さまは、自慢げにシャチをシルキスに突き出した。
ぱちっとした瞳の可愛いシャチだった。
「……いろいろ言いたいことがありますが、多すぎて何から言ったらいいのか分かりません。整理させてください」
「貴重な時間だぞ。早くまとめろ」
「……はい」
シルキスは、とりあえず魔王さまと手をつないだ。
今後の迷子だけは阻止。