魔王さま100分の2
「分からないのか?」
「少なくとも、僕が生まれる前にはあったと思います」
「そうか……」
魔王さまは、自分の記憶をたどってみる。
しかし、魔法の使い方や100分裂した経緯などの重要なことがごっそり消えている記憶。
水筒の蓋という些末なことが残っているはずもなかった。
「仕方ない、とりあえず褒めておこう」
言って、残りのお茶を飲む。
「お茶の味はどうですか?」
「ああ、美味いぞ」
魔王さまは笑顔で答え、おかわりを要求した。