魔王さま100分の2
「まず、これは何ですか?」
シルキスはシャチの頭をつつく。
魔王さまは頷く。
「うむ、これはな……」
そして首を捻る。
「なんだろう?」
「自分で分からないものを買ったのですか?」
「私の前にいた子供がな、これを親にねだっていたので、良いものだと思って買った」
あなたの判断基準は、そこいらにいる子供の行動ですか?
シルキスは言わずに、片手で頭をおさえる。
「これはシャチという大型の動物を模した浮き袋です。海にこれを浮かべると魔王さまが背中に乗れます」
「それだっ」
魔王さまは目を輝かせる。
「すごく良いものじゃないか。買って正解だ、さすが私。そうか、乗れるのか」
シャチを抱きしめ、全身でわくわくする。