魔王さま100分の2
「では、シルキス殿と。ようこそ、私どもの船に」
こちらも笑顔。
ひげが揺れた。
そして、人間の魔法使い達にも、
「兵士諸君も歓迎する。よろしくな」
変わらぬ態度で声をかけた。
魔法使い達は、緊張した面持ちで礼をかえす。
魔族にまったく不慣れというわけではないが、魔族の本拠地のようなところに足を下ろしたのは初めての彼ら。
シルキスのように力を抜いて振舞える者はおらず、定型の挨拶をつまらずに声にするのがやっとだった。