魔王さま100分の2
山は、甲板に立つシルキスの背を越え、見上げたところでふたつに割れた。
山から滝へ。
滝は、真下に流れる河に変貌。
日常ありえない方向と量の海水の流れが、戦艦を揺らす。
シルキスは、海に身を乗り出す魔王さまが落ちないように抱きとめた。
「こっちだぞ、こっちー」
魔王さまは、シルキスの腕の中で呼ぶ。
山だったところから、現れる超巨大な海蛇、シーサペント。
青白い巨体を持ち上げ、それだけで甲板の半分は飲み込めそうな顔を魔王さまに見せる。
「きゅー」
その巨大さとは反して、愛らしい泣き声。
「よしよしよし」
ゆっくりと魔王さまのところに鼻先を近づけ、ぺちぺち撫でてもらう。