魔王さま100分の2

「降りて早々、すごいのを手懐けましたね」

シルキスは、魔王さまがより撫でやすいように抱く高さを調節してやる。

「すごいだろー」

魔王さまは、自慢たっぷり。

「船のまわりをぐるぐるしていたのでな、こいつも私に挨拶がしたがっていると思って呼んでみた」

理屈も何もないが、実際、その通りなのだろう。
この場合、理屈がないのがすごい。

愛される力。

取引も前準備もまったく必要のない、純粋な力。

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