魔王さま100分の2
シルキスは、魔王さまを床におろす。
「その手は、誰かに拭いてもらってくださいね」
サーペントに触れてべたべたになった手を見て言い、未だ固まっている魔法使い達を見てフォローに向う。
「突然のことで驚いたと思いますが、皆さんがここで見たものは、今回すべて都市を守る戦力となります。落ち着いて出発の準備を」
「あ、ああ……」
シルキスに言われて、気を落ちつける魔法使い達。
隊長役の兵士が、まだ残る動揺と恥ずかしさを隠せずにいう。
「取り乱してすまない」
「謝ることも、恥じることもありません。あんなのが予告なく出てきて怖くない人間なんていませんから」
シルキスは、心から言って励ます。
人間なんて弱くてあたりまえ。
弱いから自分が守る。
久しぶりに、人間に対する庇護欲が湧き出ていた。