魔王さま100分の2

飛び立ってすぐ、
巨鳥の背で流れ出す風。

戦艦はみるみるまに小さくなり、
見えなくなる。

そうなると全方向海。
これといった目印はなし。

迷わないと、自信をもって先頭を駆けるキーヤは確かにたいしたものだ。

勘で飛んでいるように見せかけて、コンパスと時計、太陽の位置を常に把握しているそうだ。

シルキスは、一向の先導はキーヤに任せ、後ろの魔法使い達がはぐれないように注意を払っておく。

一方、魔王さまは、そんな気遣いとは無縁。

再びシルキスの膝にすわり、船でもらった菓子を食べている。

「ヘナは、まだ寝ているな」

本当によく眠ったままのヘナを見て、つまらなそうに言う。

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