魔王さま100分の2

「ほら」

今は、黒ローブを着込んでいるヘナ。

シルキスがフードを深く被せて、雨から守ってやる。

「……ありがとうございます」

ヘナは、小声で言った。

シルキスにとっては、こっちのおとなしいヘナが普通だ。

「魔王さまにも同じローブを持ってきています。降りたら着ましょう」

シルキスは、魔王さまにも声をかける。

「ヘナとおそろいか?」

「おそろいです。あわせて新調しておきました」

「そうか、でかした」

おそろいなのは服の趣味のためではなく、体格が似たようなものだからだが、魔王さまが喜んでいるので言わないでおく。

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