魔王さま100分の2

船外ならば、魔族がどれだけ近づいても幽霊船は反応しないことは分かっている。

よって、まずキーヤが単騎で幽霊船に乗り込んで反応を見る。

次に、人間の場合はどうかとシルキスで試す。

箇条書きにすると以上。
実にシンプル。

そして、危険大。

最初の実験体となるキーヤに、ヘナが自分ができる備えを提案する。

「……呪いや悪霊避けの加護を授けることはできますので、それを」

ちょっと考えるキーヤとシルキス。

「ありがたいが、それが幽霊船の反発を招くかもしれない」

「そうだな」

ヘナの気持だけ受け取って、提案を却下する。

「……そうですか。では、死んでしまったときは安らかにねむれるお祈りを」

祈る、ヘナ。

(善意だよな)
(そうに決まってるだろ。……たぶん)

キーヤとシルキスは、やや暗い顔になりながら、やはりヘナの気持を受け取る。

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