魔王さま100分の2

船を離れたキーヤは、強風をさけ海面にそって天馬を進める。

波があたらない程度の高さで飛行。

エルフの能力で風を味方にしているとはいえ、その厚みは人馬ひとつを覆うぐらい。

目指す先の大嵐に抵抗しきれるものではない。

なるべく楽なコースを選んでいかないと、自分も天馬ももたない。

シルキスは、そのあたりも承知していて最後に念を押してきたのだろう。

キーヤは、いつでも撃てるように腰にまいた発光弾を意識する。

今も、船上で幽霊船の様子よりも自分の背をレンズ越しに観察しているシルキスを容易に想像できる。

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