魔王さま100分の2
このハシゴとドア。
本来なら魔王さまを閉じ込める塔には存在しないもの。
存在しないものを誰がつけ加えたかといえば、アイオネ自身。
なんでそんな余計な真似をしたのか?
(この塔が欠陥住宅だったせいだっ!!)
アイオネは、自分を慰めるためにそういうことにしてある。
ああ、忘れない。
アイオネがここに赴任して最初の日。
はじめて会った魔王さまの気さくさと、塔内のそこそこ片付けられた清潔さにほっとしたその日。
予定どおり塔の機能点検を始めたのが、
魔王さまとの切らせてもらえない縁の始まりだった。