魔王さま100分の2

このハシゴとドア。

本来なら魔王さまを閉じ込める塔には存在しないもの。

存在しないものを誰がつけ加えたかといえば、アイオネ自身。

なんでそんな余計な真似をしたのか?

(この塔が欠陥住宅だったせいだっ!!)

アイオネは、自分を慰めるためにそういうことにしてある。

ああ、忘れない。
アイオネがここに赴任して最初の日。

はじめて会った魔王さまの気さくさと、塔内のそこそこ片付けられた清潔さにほっとしたその日。

予定どおり塔の機能点検を始めたのが、
魔王さまとの切らせてもらえない縁の始まりだった。

< 44 / 582 >

この作品をシェア

pagetop