魔王さま100分の2
ではなぜ、
穴を塞ぐのにドアを使ったのか?
塞ぐなら板でよかったのでは?
それは、穴の空いた天井を見上げる魔王さが本当に楽しそうだったから。
「このまま空が見え続けるのもいいねえ」
そう、言っていたから。
この塔の扉は、
勇者である自分にしか開閉できない。
この塔には、
窓がひとつもない。
この塔は、
扉を閉めると外の風も音も一切通さない。
その塔に、
ふいにできた天窓。
魔王さまが喜ぶ顔を見ていたら、
完全に塞ぎなおすことが出来なくなってしまった。