魔王さま100分の2
あの神速パンチは、どういう原理なのか気配が全く読めない。
まさに気がついたら殴られてダウンさせられている感じ。
「では、特大のシャチを買え」
「え?なんですって?」
考え事をしている時に、脈絡のない単語を聞かされたので上手く聞き取れなかった。
「シルキス、私に願い事をさせておいて、聞いてないとは何事だ」
魔王さまに叱られる。
「シャチだ。大きいやつ。ふたりで乗れるのだ」
「ああ、船でいい子にしていたら買うと約束したものですね」
「いい子にしていたらではない。おとなしく待っていたらだっ」
「いずれにしても待っていなかったので買えませんね」
「ふんっ、だがシルキスに犯人を教えてやったぞ。だから買え」
「まあ、その程度でよければ」
「なにっ、もっと凄いことを頼んでよかったのか?」