魔王さま100分の2

巨鳥がコンテナを運ぶときは、背の荷台は使わず足の爪で掴んで飛ぶ。

巨鳥以外で同サイズのコンテナを運べるのは、今のところ大型の船舶だけ。

よって、そんなのをひとつ丸ごと私用で借り切れば、普通は相当なお値段を請求される。

答えは分かっているが、シルキスは念のために魔王さまに尋ねた。

「魔王さま、一応訊きますが、輸送費の支払いは?」

「ん?運びたい荷物があると言ったら、全部無料でやってくれたぞ」

「……さすがですね、魔王さま」
「うむ。魔王だからな」

「ちゃんと、ありがとうは言いましたか?」
「もちろんだ」

魔王さまは、屈託ない。
生まれながらの王様だ。

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