魔王さま100分の2
「それで、運んでもらった荷物はどこですか?」
「どこだ?」
全部おまえに任せてあると、アイオネに訊ねる金の魔王さま。
一度知り合えば、勇者といえど臣下扱い。
「こちらです」
アイオネは諦めの境地か、黒の魔王さまの相手で慣れているのか、扱いをそのまま受け入れて、寝室のドアを大きく開いた。
シルキスは、金の魔王さまと一緒に中を覗く。
シルキスひとりだったらなら、覗くなとアイオネにぶっ飛ばされたかもしれないが、魔王さまを抱っこしているので今回だけ特別。
中は高級そうな装飾に包まれた
ベッドのある寝室。
塔の地下二階が
まるまる使われている空間。
その一角、
とういか3分の1以上、
いかにも運び込まれたばかりですという感じの真新しい衣装棚がつらつらと並んでいた。