魔王さま100分の2
シルキスとは違った感覚で、魔王さまが大好きな魔族達。
移動力が肝の都市潜入だからと、最少の荷物で魔王さまを連れまわしていたのが不味かったのかもしれない。
ここぞとばかりに魔王さまを甘やかされた。
魔王さま本人が、全く気にしていないのが良いことなのか、悪いことなのか。
いずれにしても、貧乏性のシルキスとは教育方針が合わないのは確かだ。
「中身は全部、魔王さまの服ですか?」
「いや、あっちの私やアイオネのも入ってる」
「うん、ありがと。もらったよー」
明るく言う、黒の魔王さま。
アイオネは、シルキスと同じくやや困惑した顔で頭を下げる。
「調べたところ、魔王さまと私のサイズにほぼぴったりでした。返しても無駄になりそうなので、今回は慎んで受理します」