魔王さま100分の2

で、そのうちに、

「壁の外を見てみたい」

なんてことを言い出すようになった魔王さま。

これはいくらなんでも拒否されるだろう。

アイオネはそう思いつつ、塔の上に壁より高いハシゴをつける計画を提出した。

……だれも拒否しなかった。
アイオネは、心底頭にきた。

誰も止めないのなら実行してやる。

これで世話係をクビになるなら、王国に帰れてバンザイだ。

アイオネは島の樹を自分で切り、丈夫なハシゴを作って塔に立ててやった。

ハシゴの上、
落ちないようにアイオネが抱える横、

初めて壁の外を見た魔王さま。

「まわりは本当に海なんだ」

そう言って、それ以上は何も求めなくなった。

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