魔王さま100分の2
そして今、
ドアもハシゴもそのまま。
そのままどころか、
塔内にも、魔王さまがひとりでドアを使えるようなハシゴを置き、
ひとりで登るなと言っておきながら、ドアに鍵をつけられないアイオネがいる。
だから、
「魔王さま」
「なに?」
アイオネができない自制を、魔王さまに求める。
「本当にひとりで登るのはやめてくださいね。できればこのドアの開けるのも」
それもこれも塔の欠陥のせいだ。
さわっただけで崩れるなんて、欠陥以外のなんでもない。
そう思うことが、
「ふふふ、どうしようかな?」
魔王さまの笑顔を見る次に、慰めになる。
──魔王さまと欠陥住宅 終わり