魔王さま100分の2

「はあ~、まったく」

連続で何度目かのため息。
黒の魔王さまを掴んだまま歩き出す。

「魔王さま、魔族の王を名乗るなら覚えておいてくださいね。王国は、いつ魔族と全面戦争になっても勝てる気でいます」

「そうなの?」

「そうです。現状は予想される被害の大きさが歯止めになっていますが、魔王の名で宣戦なんかしたら、それも吹き飛びます」

「じゃあ、こっちも王国を滅ぼしちゃうもん、王国に味方する国も灰にしちゃ、あたたたたっ」

「そんな状況で奪還されたら、私は別の理由で生きていけません」

「あうあうあう、痛いっ、絞めないで、お話で解決しましょ、ね、ね、ね」

アイオネに引っぱられて歩く黒の魔王さま。

逆らうう引きずられて痛い目を見るので、自分から歩調をあわせて従う。

「とにかく、王国との武力衝突の政略はここで捨ててください、今すぐ」

「捨てた、捨てた、捨てましたあああー。ぽいぽいぽーい」

片手で潰される、黒の魔王さまによる武力侵攻の未来。

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