魔王さま100分の2
シルキスは、手を休めずに言う。
ただ積むだけで固定はしないから、崩すなり、組み直すなりは後で自由にと、魔王さまとの話を半分にアイオネとも話している。
むーと、金の魔王さまの肩を掴む黒の魔王さま。
「だったら、こっちの小さい私が王国に捕まったらどうする?」
「小さい言うなっ」
金の魔王さまが怒る。
「その時は、戦争になっちゃいますね。さすがに」
「ほーら」
「何がほーらです。私の帰国と魔王さまの拘束は状況が違いすぎます」
「だってえ」
「仕方ないですね」
シルキスは、アイオネ奪還についての代案を考える。
「まあ、こっちの親善大使として名指しで要求するところから始めましょうか?」
「よけいな知恵をつけさせないで」
アイオネが、見よう見まねでレンガ積みを手伝い始める。