魔王さま100分の2
金の魔王さまとシルキスは、
門にむかっているアイオネ達を見た。
調子にのった黒の魔王さまが、
アイオネの耳元に口撃をしかけ、
何を言ったかは聞こえなかったが、アイオネに足首を握られて逆さ吊りにされ、担がれて運ばれていく。
「わーん、ごめんなさーい」
泣いて謝る声だけ、しっかり届いた。
「……」
シルキスは、それを見なかったことにして、ちょいちょいとレンガを最終調整。
地面に寝かせてあった鉄板をアイオネに負けず軽がると持ち上げ、ガツンと両端を積み上げたレンガに乗せてセットした。
「ごく単純な組上げですが、こんなものでしょう」
「おおおっ、十分だ」
金の魔王さまから、お褒めの言葉。
レンガと鉄板の周りをぐるぐる回わって、全ての角度から出来たての焼き場を視察する。
──魔王さまと居候 おわり