魔王さま１００分の２

「僕が寝ている間に、一緒に食事をして気づいたりしなかったのですか？」

質問しながら、飛んで来る油から魔王さまを守るシルキス。

金の魔王さまは、小首をかしげる。

「確かに、アイオネに給仕をさせて一緒の席で食べたが……」

「自分が食べるのに夢中で気がつかなかったのですね？」

「むうう」

魔王さまは、反対側に首を傾けなおして唸った。

アイオネが言う。

「私は、よく食べる魔王さまだと驚きました」

「まあ、こっちの魔王さまは、僕より食べますから」

「いかんのかっ！」

「いいですよ、食べてる魔王さまは幸せそうですから」

シルキスは、片手で傾いた魔王さまの頭を優しく戻す。