魔王さま100分の2

そんな忙しい人々に交じって、のんびり顔の神父がひとり。

戦艦が横付けされた岸壁で、港にあがった船員達をひとりずつ検査していた。

ひとりずつと言っても、神父が立っている前を順に通らせるだけ。

検査と言っても、神父と船員達が通り際に軽く顔を見せあうだけ。

慣れた者どうしで行われる幽霊船の呪いチェック。

「おつかれさまです」

神父が言えば、大丈夫という意味。

「いつもありがとうございます。エミリオ神父」

言われた船員は、にこやかに神父に礼を言って次の持ち場に向っていく。

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