魔王さま100分の2

一方、黒の魔王さまは、小皿に薄く乗せてすぐに戻ってくる。

「ねー、アイオネ、これはもう焼けてるよね?ね?」

「はい、焼けていますよ」
「ふふ、私、初めてお料理しちゃった」

朗らか会話。

シルキスは、まだ鉄板に組み付いて頑張っている金の魔王さまを呼ぶ。

「魔王さま、食べているうちにもどんどん焼けますので、一度にそんなにとらなくてもいいですよ」

「それは分かっている」

分かっているが、いやしんぼな性がなかなか手を引かせない。

そんな魔王さまに誰がした?
答えは、シルキス。

金の魔王さまがようやく満足するころには、

シートの上でアイオネが全員分の飲み物を用意し、焼き物以外の料理も並び終えて、宴の席を整えていた。

「早くおいでよー」

ちょこんと正座すわりする黒の魔王さまが誘う。

< 541 / 582 >

この作品をシェア

pagetop