魔王さま100分の2
一方、黒の魔王さまは、小皿に薄く乗せてすぐに戻ってくる。
「ねー、アイオネ、これはもう焼けてるよね?ね?」
「はい、焼けていますよ」
「ふふ、私、初めてお料理しちゃった」
朗らか会話。
シルキスは、まだ鉄板に組み付いて頑張っている金の魔王さまを呼ぶ。
「魔王さま、食べているうちにもどんどん焼けますので、一度にそんなにとらなくてもいいですよ」
「それは分かっている」
分かっているが、いやしんぼな性がなかなか手を引かせない。
そんな魔王さまに誰がした?
答えは、シルキス。
金の魔王さまがようやく満足するころには、
シートの上でアイオネが全員分の飲み物を用意し、焼き物以外の料理も並び終えて、宴の席を整えていた。
「早くおいでよー」
ちょこんと正座すわりする黒の魔王さまが誘う。